今回は「Muller Frères Luneville(ミューラー兄弟・リュネヴィル)」のアール・デコランプの魅力を、たっぷりとご紹介いたします。
まず目に飛び込んでくるのは、ミューラー兄弟ならではのガラスシェードの美しさ。乳白色の地に、柔らかなブルーやグリーン、ピンクが溶け合うように広がり、点灯するとまるで水面に映る夕暮れ空のような幻想的な光を放ちます。シェードには「Muller Frères Luneville」の銘が刻まれ、フランス・ロレーヌ地方の名工房で作られた本格的なアール・ヌーヴォー/アール・デコ期の逸品であることを物語っています。
シェードを包み込むアイアンスタンドも見どころです。しなやかに弧を描くフレームの中央には、手打ちで造形された花と蕾が立体的にあしらわれ、植物がランプをそっと支えているかのようなロマンチックな意匠。鉄の重厚感と有機的なフォルムが、ガラスの柔らかな光と見事に調和しています。ベース部分の打ち出し模様も細やかで、360度どこから見ても飽きさせない作りです。
点灯時と消灯時で表情が大きく変わるのも、このランプの大きな魅力。消灯時は落ち着いたアートピースとして、点灯すれば室内を優しい色彩で満たす光のオブジェとして、シーンに応じて違った楽しみ方ができます。ベッドサイドや書斎、サロンのコーナーライトとして置けば、一気にヨーロッパのアンティークサロンのような雰囲気に。
骨董好きの店長として断言できるのは、このミューラー兄弟のランプは「照明」であると同時に「芸術作品」だということ。100年近い時を経てもなお色褪せないガラスの美と、職人の手仕事が宿るアイアンワーク――その両方を一度に味わえる贅沢な一台です。ぜひ実物の光の表情をご覧いただき、その世界観にじっくり浸ってみてください。

